電子書籍について

近々楽天koboという電子書籍サービスを提供します。また、AmazonでもKindleが日本で発売されるとの発表もありました。いよいよ電子書籍が日本で普及するかもしれない状況になってきました。

電子ブック楽天<kobo>: 読書に革命を。新しい楽しさを。 Amazon.co.jp: Kindle 近日発売 販売開始お知らせメールマガジン登録

私もかれこれ2年ほど電子書籍を利用しています。主にKindle3を利用していますので、もっぱらamazon.comからKindle版の電子書籍を購入しているという状況です。

また、去年の今頃購入したICONIAというAndroidタブレットでもPDFを閲覧したりもしますが、こちらはパフォーマンスが悪いため、あまり利用に適していません。(たとえば、ファイル容量が50MB程度の雑誌であればページをめくるのに電車で一駅ほどかかることもあります…)

さて、このような私が思うに、日本ではおそらく電子書籍はそれほど普及しないのではないかと思います。理由はいくつかあります。

  1. 価格面でのインセンティブがない
  2. 書籍を自炊する(自炊代行)方がコストパフォーマンスがよい
  3. コンテンツが少ない(増えるかな?)

おおむねこの3つが大きな障害となるように思います。

1.価格面でのインセンティブがない

たとえば、価格面でのインセンティブですが、これは非常に重要なことです。私がAmazon.comで書籍を購入するようになった理由も価格面のインセンティブです。

これは一概には言えないことですが、特にIT業界では情報がアメリカを中心に発信されることが多く、日本から発信される情報はあまりないのが実情です。一般的には日本で翻訳されて発売される書籍は、アメリカで発売されてから半年から1年程度経ってからになります。

つまり、少なくとも情報の鮮度が落ちた内容について対価を支払うことになります。しかし、当然のことながら英語から日本語への翻訳にはコストもかかります。また、書籍を出版する会社の利益も当然加味されます。

すると、半年から1年程度遅れた情報に対して海外の書籍より数割割高で購入することになります。

ここで重要なことは、Amazon.comではKindle版の書籍というのはだいたい1〜5割引き程度で発売されています。要は一番鮮度のよい情報が一番安く提供されていることになるのです。

もちろん、Kindleの書籍なので輸送コストや製本コストなどは発生しません。

ここまでで考えた場合、日本国内で発売される翻訳ではない書籍について、これまでと同様の価格設定を行うのであればそれほど普及はしないのではないかと思います。特に、漫画などはほぼこれまでと同様の価格設定を行っていますね。

価格が同じということになると、2の 自炊する が影響してくることになります。

2.書籍を自炊する(自炊代行)方がコストパフォーマンスがよい

自炊というのは賛否両論、法的な問題も様々あるようですが、法的な問題を回避するならばとても便利な方法でしょう。自分で行うにしろ代行業社に依頼するにしろ、単価が1冊100円程度〜となっているわけなので、古本を大量に購入して自炊すればまさに電子書籍の恩恵を受けられることになります。

また、日本の場合書籍については文庫本という最適なサイズのものが存在します。実際自炊する際に文庫本を自炊するかというと、なかなかしようとは思いません。文庫本がカバンの中に一冊入っていれば、少なくとも往復の通勤程度は一冊で十分だからです。すると、中古の新書をブックオフなりで購入して自炊すれば安上がりというケースは多いのではないでしょうか。

もっともサイズという面では漫画にも同じことがいえますが、漫画の場合一冊を読み終えるまでにかかる時間は30分〜1時間程度でしょう。すると、2冊、3冊と持ち歩きたくなるため電子書籍との相性はよいということになります。

3.コンテンツが少ない(増えるかな?)

また、3のコンテンツ数についても、価格設定を間違えると結果的にコンテンツとならない可能性も出てきます。今までと違って書籍を大量に電子書籍ビューアーに保存できるメリットだけではなかなか一般ユーザーは電子書籍へ移行しないでしょう。

すると、結果的にコンテンツがあっても一般利用者から見た場合のコンテンツ数は少ないという認識になるのではないでしょうか。

ここまで見ると、価格面では文庫本と同程度または文庫本と新書の間くらいに設定する必要があり、かつできる限り多くの電子書籍ビューアーで閲覧できるものがいいということになりそうです。

基本的には、AmazonKindleでE-Linkがすばらしいと思うのですが、さまざまなサービスに対応したものとなるとiPadが落としどころになるのではないかとにらんでいます。楽天などは、Koboの端末ではもうけはないと明言しているわけで、個々の書籍代から改修するといっているように聞こえなくもありません。

さて、どうなるのでしょうか。予想がいい方向に外れることを期待します。