私はホンダという会社がとても好きで、乗っているバイクもスーパーカブだし自動車もFITです。本田宗一郎さんのことを知りたく何冊か書籍も読みました。ホンダの技術力についてはこの動画が端的に表しているように思います。
ただ、最近トヨタという会社に興味がありトヨタ関連の書籍を何冊か読んでみました。
トヨタといえば改善や見える化などで、開発現場でも様々な形で取り入れられていることは知っていました。ただ、これまでは開発者としてカイゼンを取り込んだアジャイルな開発手法に興味を持っていました。
ところが、ここ数ヶ月で自分のチーム内でのポジショニングが大きく変わりこれまでの延長線上ではうまく回せないのではないかと言うことに気づきました。
これまでの私のチームは、私はプレーイングマネージャーでチーム内では相対定期に技術力が高く自分で解決することを最終手段として考えていました。そのため、チームの開発についても最終的に解決することが可能な時間を考えたスケジューリングをしていました。いざとなれば何とかするかという状態ですね。
ただ、システムへの改修が多岐にわたりそれらすべての最終的な対応を自分でできないような状況になってきた事と、優秀なメンバーが参画するようになったことから自分が率先して開発をするよりもメンバーが開発を上手に進められるようにする必要が出てきました。そうしないと、最終的なアウトプットが担保できなくなってきたのです。
そうすると不思議なもので、ホンダに関する書籍から学べることは自分にとってプレーヤーとしての自分をたかめることにつながっているように感じられるようになったのです。優秀なエンジニアとして能力を高めたり、リーダーとしての自分を高める方法については学んできたのでそれなりに重宝されて居るように思います。しかし、キャリアや能力が様々な人たちと最大の成果を上げる方法論については、残念ながら自分がほとんど持ち合わせていないようです。
ホンダという会社はモビリティというものに情熱を持った人達が集まり、叡智を結集することですばらしいものを作る会社だと思います。実にホンダらしいように思います。
ただ、一般的には情熱を持った人達ばかりが仕事をしているわけではなく、人生のいちプロセスとして仕事をしている人が多いのも事実です。こんな当たり前のことに気づくまでにずいぶんかかりました。
もちろん、情熱を持って仕事をしている人とそうでない人が同列であればよいと思っていませんし、可能な限り情熱を持った人と仕事をしたいと思います。しかし、与えられた状況によって組織の結果を最大化するためには一般的なスタイルの人達と仕事をすることを念頭に置くべきなのでしょう。
そのような仕事に対して平均的な意識を持っている普通の人達が集まって仕事するときに成果を最大化するためにはどのようにすればよいのか?
私はその答えの一端をトヨタという組織の運営から得られるように思います。徹底的な作業分析を行い無駄が発生しないような組織運営上のフレームワークを徹底的に検討している組織がトヨタという会社なのだと思います。
これらの書籍からは多くのことが学べるように思います。たとえば、「仕事は権力ではない。理解と納得である」などは、自分が技術者である場合にはどうしても実力本位でものを通してしまう(つまり権力)ものですが、それでは周りの人にはいつまでも伝わらないため同様の事が繰り返されます。
「一人の100歩より、100人が1歩ずつ」なども同じ事でしょう。これまで私は自分が100歩進むことで問題を解決してきたわけですが、これからは100人が1歩進めるようにする必要があります。そのためにどうすればいいのか、自分が裏方に回るための訓練が必要になるように思います。
組織をどのように運営するかは組織の性格によるところが大きいと思います。立場によってドラスティックに自分が変わるようにしなければならない時が来たのだと思います。