最近は仕事で議事録を書きたがらない人が多いように思います。私はテクニカルサポートからIT業界に入りましたので、議事録やレポートを書かないことにデメリットを強く感じます。
議事録を書くべきだということについて、世間でもいろいろといわれています。ただ、ことシステム開発の現場においては次の点が重要になってくると思っています。
1.知識の整理ができる
議事録は、打合せ中に作成する場合も、後から作成する場合も必ず見直します。お客様へ提出するオフィシャルなドキュメントなので、齟齬がないようにするためです。その見直しを行う際に、不思議なくらいいろいろな知識を整理することができます。一見関連のない発言が業務とシステムの間をつなぐキーワードになったり、あるいは内容を取り違えているかもしれないという不吉な予感を感じることができるのです。
2.内容を正確に確認することができる
システム開発を行う際に、いろいろな方とお話をします。現場の状況や業務フローなどを確認したり、ご要望をお伺いするためです。いろいろな方とお話をすると、同じ業務であっても逆説的な内容であったり、微妙に異なったり、要望に至っては逆の内容が出てくることもあります。そのようなときに、議事録を確認して内容について整理することができます。
3.タスクや確認事項を明確にできる
システム開発では、どうしてもお客様にお願いしなければならないタスクが発生してしまいます。業務フローについての確認や、画面の操作内容、プログラムが生成したデータの確認などフェーズによってさまざまなことをお願いします。ただ、これらのお願い事に対して明確な回答をいただかないとシステム開発は進まない状況に陥いるケースがしばしばです。 このようなお願い事は通常タスクとしてお客様と管理するのですが、議事録にタスクを明記することで、少なくとも議事録の確認時にはタスクの共有を行うことができます。また、次回の打合せ時には、議事録の内容についての合意から進めれば、タスクの進捗度合いも明らかになります。 やはり、お客様へのお願い事は気が引けるものですが、仕組みとして明らかな状況で確認することでお互いにシステム開発を進めやすくなります。
便利な道具はあるけれど…
もちろん、世の中にはとても優れた情報共有ツールやタスク管理ツールがあります。これらのツールを使いこなせば、きっと情報共有はうまくいくのでしょう。また、タスクについても性格に管理できると思います。
ただ、お客様が必ずしもそれらのツールで情報を共有することに前向きとは限りません。また、それらのツールを運用するためのコストも比較的大きくなります。一方、議事録は遙か昔から利用されてきた仕組みです。日本の中枢では機能しないという話も出ていますが、一般的には誰もが経験のある仕組みと考えて問題ないでしょう。
つまり、議事録は適切に運営すれば、導入がとても簡単で誰もがなじみのある情報共有の仕組みになると思います。運営の工夫は必要になると思いますが、議事録を有効に活用することで、情報共有が比較的スムーズに進むようになるのではないかと思います。
議事録は強力な情報共有ツールなのです。